設備投資減税への批判~~前篇~~

大変お世話になっております。
反逆する武士
uematu tubasaです。

~~~~以下は東洋経済オンラインより~~~~~~

http://toyokeizai.net/articles/-/17572


設備投資に頼った成長戦略は、最悪の選択

増税による景気悪化に備え、設備投資減税をしても効果なし

小幡 績 :慶應義塾大学准教授
2013年08月14日

安倍晋三


「設備投資による成長戦略」は、成熟国家・日本では無理筋だ(撮影:梅谷 秀司)

成長戦略では成長できない、という話については、いろんなところで述べてきたし、拙著「成長戦略のまやかし」でも詳しく述べた。今回のコラムでは、成長戦略の一番のわな、設備投資促進政策について議論したいと思う。

設備投資促進は、最悪の対応

8月12日に、内閣府から2013年4~6月期のGDP速報値が発表された。平均的な予想を下回ったものの、来年度からの消費税引き上げには問題ないレベルと判断された模様だ。そして、消費税増税による、景気の悪化に備えて、設備投資減税を本格的に検討開始したという報道があった。

これは最悪の対応だ。

安倍政権の成長戦略の目玉の一つが、設備投資を促す数々の政策だが、これは、安倍政権に限ったことではなく、日本のエコノミストが大好きな政策が、設備投資促進だ。

しかし、日本企業の設備投資は過大である。あらゆる財務データがこれを示している。対売上比率も高いし、日本企業のROAが極めて低いのも、過剰な設備投資で、資産が肥大化しているからである。この結果、1990年代の失われた10年はリストラの10年で、過剰債務と過剰雇用の整理が目立ったが、同時に過剰設備の整理も行われたのだ。

不思議なことに、バブル期の過大な負債、過剰な株式(転換社債)発行へは強い反省が見られ、異常なまでに負債を縮小したり、転換社債のトラウマは残ったりしている。さらに、人的整理のリストラは、切られる側だけでなく、経営者側にとっても最大の頭痛の種だったし、そのトラウマで、2000年からの10年は、新規雇用に及び腰となり、雇用が失われた10年となった。

しかし、なぜか、設備投資に対する反省は全くなく、設備投資が失われたことが日本経済の停滞理由のように勘違いしているエコノミスト、政治家が多い。経営者も同じだ。

シャープもパナソニックも、経営危機に陥っているのは、テレビの生産ラインに設備投資しすぎただけのことだ。テレビが売れなくなったのが悪いのではなく、いつかは売れなくなるに決まっているテレビに過剰投資したのが問題なのだ。しかも、研究開発ではなく、生産設備に投資し、その能力差で勝負しようとしてきた。それこそが間違いだ。設備投資さえしなければ、最初から鴻海(ホンハイ)精密工業など、ファウンダリーと呼ばれる製造請負を使い、研究開発にだけ集中していれば、投資額は限定的だったはずだし、テレビが不振になっても、企業の存続まで脅かされるリスクとはならなかったはずだ。

「設備投資神話」の終焉

なぜか、みなが依然として設備投資神話を信じているのだが、しかし、設備投資では現在の日本経済は成長できない。設備投資偏重をすぐに改めることこそ、日本の成長戦略だ。

もはや設備投資は、需要として望ましい需要ではない。設備投資をありがたがるのは、設備投資が需要となり、その需要が他の企業の設備投資を誘発し、これも需要となると幻想を抱いているからである。しかし、現在ではこれは成り立たない。

昭和30年代の日本経済は、投資が投資を呼ぶと言われた。異常に好循環の高度成長経済だった。一つの企業が投資をすれば、それは有効需要となり、他の企業がこの需要増加に対応して投資を増やす。これがまた別の企業の投資を増やし、と循環していく。この中で、資本蓄積が進み、設備が増えていくから、労働生産性は向上する。

そうなると、賃金も上がり、これが消費を増加させ、需要はさらに増大し、その需要に応じて、さらに投資が進む。最高の好循環で、日本経済は面白いように成長し、そして生産される製品の質も一気に向上し、質、量、価格、すべての面で国際競争力が急速に上昇していったのである。

しかし、今の日本ではこれは起きない。それは高度成長構造ではないからだ。需要が右上がりでない。人口は増えない。地方から都市への人口流入もない。核家族化もこれ以上進まない。したがって、消費の規模の拡大は起きない。一方、正規雇用などへの希望は強いから、労働生産性が上昇しても賃金は簡単には上がらない。所得は増えない。消費拡大も起きない。

ここで最も重要なのは、今、なぜ、まともな企業は設備投資をしないのか、ということである。設備投資をしない理由が、高度成長期に設備投資不足だった理由とは決定的に違うのだ。高度成長期には、カネが足りなかった。金利が高かった。それが投資できない理由だった。製品に対する需要はあるが、資金制約などにより投資できなかったのである。しかし、今は違う。カネはある。銀行も設備投資ならいくらでも貸してくれるし、市場で直接調達も出来るし、そもそも利益を企業内に溜め込んでいると言われるぐらい資金豊富である。でも、投資しない。

それは、需要がないからだ。需要がないから投資しない。もし、世界のどこかに需要があって、設備投資しさえすれば、その需要をつかむことができ、しかも利益が上がるということがあれば、政府に減税してもらわなくても自ら設備投資をしている。円安になってすら、自動車が絶好調になってすら、ホンダもスズキも国内に必要以上に設備投資をする気はない。需要が今後増える市場が米国なら米国で、中国なら中国で設備投資と生産をするからだ。

顧客を見なくなった、不振企業たち

したがって、政府が減税しても、それは実質、補助金にしかならない。これまですでに設備投資している部分に対する減税額が実質的に増えるだけのことだ。したがって、設備投資が仮に増えたとしても、節税効果というのがメインだから、売り上げが大幅に増えるわけでもないし、利益率が大幅に上昇するわけでもない。だから、波及効果も小さい。投資は投資を呼ばないのである。

もし、こうした中で強引に設備投資減税をし、かつ設備投資を実際に行うこととなったらどうなるか。あるいは、経営者の側にも設備投資信仰があった場合にはどうなるか。ここ数年の、家電メーカーのようになってしまう。シャープやパナソニックの失敗は、設備投資信仰から来ている。とにかく設備投資で勝負。これはそもそも間違っている。そこへ、政府が地上デジタル、エコポイントなどという餌を撒いたものだから、彼らはその残飯に群がった。そして、それらの餌がなくなり、経営は危機に陥ったのである。

彼らの誤りは、個々の顧客をみなくなったことである。

企業は生き物である。そして、日々、闘っている。消費者、顧客のニーズを捉えるために闘っている。そのときに、需要をうまく捉えられる見込みがあれば、設備投資をしてまでも、その需要に効率的に、より魅力的にアプローチしようとする。より高品質で、顧客のニーズにあったものを作るために、設備投資をする。顧客も喜ぶから、高い価格を支払ってくれる。付加価値が増大している。だから、企業も利益が増える。だから、設備投資に踏み切る。給料も多く支払えるようになる。労働者も新しい、より付加価値の高い製品を生み出す労働力として、付加価値の高い労働力となる。人的資本を蓄積する。こうなってくれば、設備投資は、極めてよい循環をもたらすのである。

しかし、今の設備投資は自己都合だ。自社のことしか考えていない。顧客を見ていない。ライバル企業しか見ていない。ライバルに勝つために、ライバルよりも生産効率を上げるために、生産設備を最新鋭の最大規模のものにする。テレビのスペックを上げ、夢の3D技術を実現する。高精度の4Kテレビを導入する。これらは、自分たちのやりたいことをやっているだけだ。世界最高のテレビを作るのはいい。しかし、顧客の多くはそれを求めていない。生産者の自己満足だ。

だから、設備投資は失敗するのである。設備投資減税で行う設備投資も顧客を見ていないという点では同じだ。税金対策の投資である。コストだけを考えた投資である。新しい顧客を見ない投資は意味がない。グローバル市場というだけで、個々の顧客を見ていない。日本以外の市場ではコストが勝負と思い込んでいる。韓国にコストで勝てばいいと思っている。違うのだ。グローバル市場とは、日本を含め、個々のローカル市場の積み重ねに過ぎない。

グローバルのローカルな個々の顧客をみないで設備投資する。政府によって無理やり生み出された設備投資をする。こうした投資を行っていては、将来にわたって、真の顧客から継続的に需要を勝ち取るノウハウの蓄積につながらない。さらに、過度な設備投資をしていれば、真の持続的な需要をつかめなかったとき、即座に財務的な危機となる。

したがって、政府が無理やり設備投資減税を行い、それにより設備投資を行い、短期的に需要を生み出すことによる「短期成長戦略」は、企業を破綻に追い込む、最も危険な“成長戦略”なのである。
~~~以上、東洋経済オンラインより~~~

設備投資減税批判の論文をご紹介しました。
内容は多岐にわたりますので、要点をまとめましょう。


・設備投資では現在の日本経済は成長できない。設備投資偏重をすぐに改めることこそ、日本の成長戦略だ。
・昭和30年代の日本経済は、投資が投資を呼ぶと言われた。一つの企業が投資をすれば、それは有効需要となり、他の企業がこの需要増加に対応して投資を増やす。これがまた別の企業の投資を増やし、と循環していく。
・しかし、今の日本ではこれは起きない。それは高度成長構造ではないからだ。
・今、なぜ、まともな企業は設備投資をしないのか、ということである。設備投資をしない理由が、高度成長期に設備投資不足だった理由とは決定的に違うのだ。
・カネはある。銀行も設備投資ならいくらでも貸してくれるし、市場で直接調達も出来るし、そもそも利益を企業内に溜め込んでいると言われるぐらい資金豊富である。でも、投資しない。それは、需要がないからだ。需要がないから投資しない。
・今の設備投資は自己都合だ。自社のことしか考えていない。顧客を見ていない。
・グローバル市場というだけで、個々の顧客を見ていない。グローバル市場とは、日本を含め、個々のローカル市場の積み重ねに過ぎない。設備投資減税で行う設備投資も顧客を見ていない。
・過度な設備投資をしていれば、真の持続的な需要をつかめなかったとき、即座に財務的な危機となる。


私なりに解釈しますと、小幡氏は設備投資減税によって、過剰投資になることを危惧しており、民間企業が財務的な危機に陥る可能性が高いと主張しているようです。
また、なぜ民間企業が設備投資しないのかというと、需要がないからだと断言されています。

私は小幡氏のご意見は傾聴に値すると思うのです。

確かに、設備投資を行って、収益が上がらなかったら、平たく言えば儲からなかったら、民間企業は財務的な危機に陥ることになるでしょう。最悪、間違った時期に設備投資したことが原因で倒産するという可能性すらあり得ます。
また、需要がないから設備投資しないというご意見はごもっともとしかいいようがないですね。

解決策としては、継続的に需要を生み出す政策を打ち出すしかないと考えます。

つまり、財政出動(政府支出の拡大)です。

複数年度予算を組み、継続的に政府支出を拡大させるべきだと考えます。そうすれば、設備投資減税で積極的な設備投資を行った企業が需要を掴み取り、繁栄することができるでしょう。

過剰投資になるのではないかというご批判は真摯に受け止める必要がありそうです。

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う〜ん…、家電業界の負け組メーカーの失敗例だけを取り出して説明されても、何とも言えないというのが僕の正直な感想ですかね。
バブル崩壊以降の国内設備投資の水準がどんな感じなのかデータとグラフを使って説明されていたなら、僕も納得いったかも知れないですが。
ただ、トヨタなどのように現状、需要のある地域に設備投資する地産地消タイプになっているという説明はその通りだと思います。需要が弱いままで設備投資だけを促すのも無理筋だというのもその通りでしょう。最後に反逆する武士様が仰ったように、政府支出の拡大による有効需要の創出が必要だというのが最もな意見だと思います。庶民の懐を潤す需要創出と設備投資の拡大のセットが最大の効果を発揮するのでしょうね。
労働生産性の向上が賃金上昇を促すということを小幡さんは言ってましたが、そもそも労働生産性とは企業ではその分母が売り上げであり、国家で言えばGDPです。分母が増えなければそれは単に就労人数を減らす、或いは残業が減るというだけのレベルの話になり、賃金上昇にまでは結びつかないでしょう。逆に言えばGDPを増やせば計算式上、勝手に労働生産性は向上します。日本の労働生産性が低いと批判する識者が多いですが、僕に言わせるとここ何十年GDPが低空飛行を続けてる日本でそれを言っても意味がないというのが正直な感想です。つまり生産性の向上が足りないから経済成長しないんだというのではなく、生産性の向上を受けとめる分母たる需要が足りないから経済成長しないんです。その需要が足りない原因は社会の成熟化による物余りから来ているのではなく、庶民の懐が寒い為でしょう。物があり過ぎて購買意欲が失せているのではなく、お金がないから買えないだけです。
というわけで逆累進制の消費税は早々に廃止しなければなりませんね。累進課税を強化し、所得再分配の機能を復活させ、政府は減税と投資を含めた財政出動を拡大させる。小幡さんも原因が需要不足だという結論に達しているのなら、是非こういう政策を提言して欲しいものです。
プロフィール

uematu tubasa

Author:uematu tubasa
平成生まれの尊皇攘夷派で、某国立大学の経済学部出身の
uematu tubasaと申します。

基本情報技術者、電子書籍作家。

失業と低所得と借金に負けない!
私は戦う、この残酷な世界で!

北朝鮮の核実験がきっかけで政治に興味を持った若者です。
『消費税廃止への進撃』
『ビジネスの種を蒔け』
『究極の空き家対策』
『家賃半額』を出版しました。
『雇用、所得、物価の一般理論(仮)』
『我が国日本の海洋戦略(仮)』
『日銀は錬金術師(仮)』
『ケインズは二度死ぬ(仮)』
『なぜバターがスーパーから消えたのか(仮)』
『住宅資産倍増計画(仮)』
『天皇器官説(仮)』
『移民拒絶論(仮)』
『人口補完計画(仮)』
『地政学の強化書(仮)』を出版する予定です。

日本核武装論の出版が中期的目標です。

核武装推進論者、ネオクラシカルリアリスト(新古典派現実主義者)、地政学を国立大学の必須履修科目にするべきと考えています。

自主憲法制定論者(現行憲法破棄、大日本帝国憲法改正)、女系天皇公認論者、暫定的な保護貿易協定推進論者、消費税廃止論者、経済ナショナリスト、公的家賃補助導入論者、対米自立論者、日米同盟堅持論者、反特定亜細亜、移民拒絶論者。

すべての売国法案に反対しております。

基本的には政策論を中心に書いております。
ご意見ご感想をよろしくお願い致します。

好きな漫画:ゴーマニズム宣言、金色のガッシュ、3月のライオン、進撃の巨人、もやしもん、ダイヤのエース、黒子のバスケ、銀の匙、鋼の錬金術師、ハイキュー!! アルスラーン戦記

好きなPCゲーム:泣きゲー全般(主にKey作品)

好きな食べ物:そば、寿司、天ぷら、おにぎり、トマト、ピザ、パスタ、ソーセージ、ポトフ、フィッシュ&チップス、ペペロンチーノ、フライドポテト。

好きな飲み物:緑茶、麦茶、カシスオレンジ、果実系ジュース、CCレモン、日本酒

好きな女性のタイプ:明るくて家庭的な日本人女性

趣味:読書(核戦略、地政学、国際政治学、経済学など)とジョギング(1日往復10kmを週に2日ぐらい)

特筆事項:性別は男性(遺伝子組み換えではない) 両親共に日本人

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