オーストラリア潜水艦失注~フランスの武器輸出経験値に敗北した~

大変お世話になっております。
反逆する武士
uematu tubasaです。

私は拙ブログにおいてオーストラリアの次期潜水艦建造問題を継続的に取り上げてきました。
結果失注となりましたが、我が国日本にとっては大きな経験になったと思います。

我が国日本の技術的優位を保ちつつ、武器輸出の推進のために頑張ってほしいと思います。


~~~~~以下は東洋経済オンライン~~~~~
http://toyokeizai.net/articles/-/116178
オーストラリア潜水艦商戦、日本敗退の裏側

潜水艦「ごうりゅう」は幻に終わった

ロイター 2016年04月29日
[東京/パリ/シドニー 28日 ロイター] - 初の大型武器輸出として日本が目指したオーストラリア向け潜水艦「ごうりゅう」の受注は、幻に終わった。首脳同士の絆のもとで日本は勝利を疑わず、途中で変わったゲームの流れについていけなかった。勝利したフランスは自分たちが劣勢にあることを認識し、現地の事情に通じた人材を獲得、弱点を地道に克服して勝負をひっくり返した。

本格的な国際競争へ

2014年11月、フランスのル・ドリアン国防相は初めて豪州を訪れた。豪州の次期潜水艦の受注を獲得しにいくことを決めた仏政府系造船DCNSのトップ、エルベ・ギウ氏に促されての訪豪だった。国防相が飛んだのは、首都のキャンベラやシドニーではなく、南西部の都市アルバニー。そこは第1次世界大戦中、西部戦線に展開したフランス軍の応援に、豪軍が兵士を送り出した場所だった。

ル・ドリアン国防相は豪政府の主要閣僚とともに、100年前の悲しい出来事を称えた。「国防相はその重要なイベントに参加することを切望した。そこで豪州のジョンストン国防相、アボット首相と話す機会を得た」と、同行した仏関係者はいう。過去を共有することで、潜水艦の協議に向けた扉が開いたと同筋は振り返る。

豪政府は当時、自国建造は技術的リスクが高いとして、海軍の要求性能に近い海上自衛隊のそうりゅう型潜水艦を輸入する方向で日本と話を進めていた。日豪は首脳同士の仲が緊密で、中国けん制のために防衛協力を強化したいとの思いも共有しており、日本が受注することは確実とみられていた。日本の政府内では、豪州向けのそうりゅうをもじり、「ごうりゅう」プロジェクトと呼ばれていた。

ちょうどこのころ、豪州では政治の風向きが変わり始めていた。自国の造船会社はカヌーを造る能力もない、などと発言したジョンストン国防相が12月に辞任。強権的との批判や景気減速などでアボット政権の支持率は低下した。

日本が受注すると豪州に経済効果がないとの声が高まり、「競争的評価プロセス(CEP)」という名の競争入札に切り替えざるを得なくなった。

15年2月19日、日本の安倍晋三首相はアボット首相から電話を受けた。次期潜水艦建造の支援先を決めるに当たり、日本、ドイツ、フランスを対象にCEPを実施したい──。アボット首相はそう告げた。20日に発表するという。

安倍首相は「トニー」、「シンゾウ」と呼び合うアボット首相の苦境を理解し、入札への変更を承諾した。武器市場に参入したばかりの日本が、準備のないまま本格的な国際競争に放り込まれた瞬間だった。

安保法案への影響を懸念

ところが、政府・三菱重工業<7011.T>・川崎重工業<7012.T>で作る日本の官民連合は、独造船ティッセンクルップ・マリン・システムズ、DCNSとの競争になったことの意味を理解していなかった。「豪州が本当に欲しいのは日本の潜水艦。勝っているのだから、余計なことはしないというムードだった」と、日本の関係者は振り返る。

翌3月に豪州で開かれた潜水艦の会議に日本から参加したのは、海上自衛隊の元海将2人。豪国防相が出席したにもかかわらず、日本が現役の政府・企業関係者を送らなかったことは、豪国内で驚きを持って受け止められた。ティッセンとDCNSは、この場で自社の潜水艦建造能力を大いにアピールした。

同月には豪政府からCEPへの招待状が届いたが、 日本は5月まで入札への参加を正式決定しなかった。大型の武器輸出の入札に手を挙げることで、国会の予算審議、その後に控える安全保障法案の議論に影響が出ることを懸念した。

建造に必要な部品や素材を供給する現地企業の発掘にも苦戦した。豪企業の参画をできるだけ高めるのが入札の条件だったが、武器の禁輸政策を取ってきた日本の防衛産業は同国内に足掛かりがなかった。現地企業向けに説明会を開いても、当初は計画を具体的に説明せず、日本は前向きではないとみられるようになった。

さらに、日本は豪国内で建造しない、最先端の鋼材を使うつもりがないなどの現地報道が相次いだ。「独が情報戦を仕掛けてきた。日本の欠点を徹底的に叩いてきた」と、別の日本の関係者はいう。

同年9月には、安倍首相の盟友だったアボット首相が退陣。ライバルのターンブル首相が就任し、入札は完全な自由競争となった。「日本は受注確実の取引に招待されていたのに、気が付けば経験のないまま国際入札になっていた」と、豪防衛産業の関係者は指摘する。「ポールポジションから、窮地に立たされることになった」と、同筋は話す。

連絡あれば日本を支援した

どの国の案にも弱点はあった。2000トンの既存艦を2倍の大きさにする提案をしたティッセンは、技術的なリスクが大きかった。日本のそうりゅうは静粛性には優れているが、リチウムイオン電池による航続距離が疑問視された。DCNSは5000トンの原子力潜水艦の動力をディーゼルに変更するという誰も手掛けたことのない提案をしていた。

仏にとって重要な節目は、15年4月にショーン・コステロ氏を現地法人のトップに据えたことだった。辞任したジョンストン豪国防相の側近で、豪海軍で潜水艦に乗っていた。豪政府系の造船会社ASCの幹部だったこともある。受注に向けて現地のチームを率いるには適任だった。

もし日本がコステロ氏に声をかけていれば、彼は日本の支援に応じていただろうと、同氏をよく知る関係者は言う。「しかし、日本は電話をかけてこなかった」と、同関係者は話す。

DCNSの現地チームは、受注獲得に必要な課題をすべて洗い出した。最大の懸案は、豪潜水艦に武器システムを供給する米国企業が、仏との協業を敬遠しているとの噂があることだった。

しかし、システムの入札に参加しているロッキードとレイセオンとの協議で、これも解決した。そして今年3月、仏はダメ押しとして政府・財界の一団が大挙して訪豪し、DCNS案を採用した場合の経済的なメリットを訴えた。

日本の巻き返し

日本も昨年夏、経済産業省から防衛省に送られた石川正樹審議官がチームを率いるようになってから、巻き返しを図った。1隻目から豪州で建造する具体案をまとめ、現地に研修所を作って技術者を育成することを10月に発表した。

資源価格の低迷に苦しむ豪経済の浮揚につながる産業支援策を準備し、現地にリチウムイオン電池工場を建てることも検討した。そして最終局面の今年4月、三菱重工がようやく現地法人を設立、海上自衛隊が豪軍との共同訓練にそうりゅう型潜水艦「はくりゅう」を派遣した。

しかし、はくりゅうがシドニー港を離れた4月26日、ターンブル首相はDCNSに発注することを発表した。ル・ドリアン仏国防相が自国の勝利を知ったのは、前日の25日。14年11月のアルバニーへの訪問を思い出しながら、仏で戦没した豪軍兵士の追悼式に参加していた。

「仏の動きには注意を払っていなかった」と、日本の関係者は言う。「日独が情報戦で互いを叩き合っている間に、仏はうまく浮上した。地道に根回しをし、冷静だったと思う」──。

(久保信博、ティム・ケリー、シリル・アルトメイヤ、コリン・パッカム 編集:田巻一彦、リンカーン・フィースト)
~~~~以上、東洋経済オンラインより~~~~

我が国日本は最初は圧倒的な優位をもって潜水艦建造受注競争に参画しておりましたので、油断があったものと思われます。
それでも以下のような巻き返しを行っていたようです。

>>日本も昨年夏、経済産業省から防衛省に送られた石川正樹審議官がチームを率いるようになってから、巻き返しを図った。1隻目から豪州で建造する具体案をまとめ、現地に研修所を作って技術者を育成することを10月に発表した。
>>資源価格の低迷に苦しむ豪経済の浮揚につながる産業支援策を準備し、現地にリチウムイオン電池工場を建てることも検討した。そして最終局面の今年4月、三菱重工がようやく現地法人を設立、海上自衛隊が豪軍との共同訓練にそうりゅう型潜水艦「はくりゅう」を派遣した。

人材育成策と産業支援策をもって豪州政府にアプローチを仕掛けました。
受注を目標とするならば方向性は間違っていません。

しかしながら、フランスの武器輸出経験値が日本の技術的優位をかき消してしまうほど素晴らしいものでした。
敵ながらあっぱれと言わざるを得ません。
フランスは日本の弱所を徹底的に攻め、自らの弱所を補うような一手を着実に打ってきました。

>>DCNSの現地チームは、受注獲得に必要な課題をすべて洗い出した。最大の懸案は、豪潜水艦に武器システムを供給する米国企業が、仏との協業を敬遠しているとの噂があることだった。

>>しかし、システムの入札に参加しているロッキードとレイセオンとの協議で、これも解決した。そして今年3月、仏はダメ押しとして政府・財界の一団が大挙して訪豪し、DCNS案を採用した場合の経済的なメリットを訴えた。

我が国日本は技術力で負けたのではなく、フランスの政治力に敗北したのです。

そもそものお話を致しますと、我が国日本の技術的優位を保ちつつ、武器輸出をすることを念頭に戦略を考えるのであれば、今回の結果は悲観するべきものではありません。むしろ技術流出が防がれたということで喜ぶべきです。
もし、我が国日本の目標が受注のみであったとしたら敗北ですが・・・。

失敗は成功の母とも申しますので、この失敗を糧に次を見据えた戦略の見直しをお願いしたいと思います。
インドも「そうりゅう」型に興味を示しておりますし、台湾は中国に対抗するための通常動力潜水艦を欲しております。

豪州への輸出ができないわけですから、本格的に他国への輸出に切り替えた方がよいと思います。
生産能力があるわけですから、余らせるのはよろしくありませんし、平時に鍛えておいて有事に真価を発揮するためにもどんどん建造するべきだと思います。

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プロフィール

uematu tubasa

Author:uematu tubasa
平成生まれの尊皇攘夷派で、某国立大学の経済学部出身の
uematu tubasaと申します。

失業と低所得と借金に負けない!
私は戦う、この残酷な世界で!

北朝鮮の核実験がきっかけで政治に興味を持った若者です。
『消費税廃止への進撃』
『ビジネスの種を蒔け』
『究極の空き家対策』を出版しました。
『家賃半額(仮)』と『住宅資産倍増計画(仮)』を出版する予定です。

日本核武装論の出版が中期的目標です。

核武装推進論者、ネオクラシカルリアリスト(新古典派現実主義者)、地政学の基礎は理解しております。

自主憲法制定論者(現行憲法破棄、大日本帝国憲法改正)、女系天皇公認論者、暫定的な保護貿易協定推進論者、消費税廃止論者、経済ナショナリスト、公的家賃補助導入論者、対米自立論者、日米同盟堅持論者、反特定亜細亜、移民拒絶論者。

すべての売国法案に反対しております。

基本的には政策論を中心に書いております。国会議員の事務所へ陳情します。

ご意見ご感想をよろしくお願い致します。

好きな漫画:ゴーマニズム宣言、金色のガッシュ、3月のライオン、進撃の巨人、もやしもん、ダイヤのエース、黒子のバスケ、銀の匙、鋼の錬金術師、ハイキュー!! アルスラーン戦記

好きなPCゲーム:泣きゲー全般(主にKey作品)

好きな食べ物:そば、寿司、天ぷら、おにぎり、トマト、ピザ、パスタ、ソーセージ、ポトフ、フィッシュ&チップス、ペペロンチーノ、フライドポテト。

好きな飲み物:緑茶、麦茶、カシスオレンジ、果実系ジュース、CCレモン、日本酒

好きな女性のタイプ:明るくて家庭的な日本人女性

趣味:読書(核戦略、地政学、国際政治学、経済学など)とジョギング(1日往復10kmを週に2日ぐらい)

特筆事項:性別は男性(遺伝子組み換えではない) 両親共に日本人

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